関東テキヤ一家 浅草の代紋
三年前、庭場荒しとイザコザを起こし、東京から処払いされていた浅草菊水一家の国分勝は、弟分の佐貫と久しぶりに浅草に帰ってきたが、組は赤岩興業と対立してゴタゴタがたえなかった。菊水一家の三代目に奮起をうながす帳元の関東若義組々長若林は、その裏で赤岩と手を結んでいた。勝には、浅草で小料理屋を営む直美という恋人があったが、彼女は事故にあった母の入院費のため、やむなく三代目の世話を受けていた。やがて年に一度のお酉様が近づき、その準備に菊水一家は総力をあげるが、若義組が夜陰に乗じて倉庫に火を放って福熊手など飾り物を焼いてしまう。そんな時、破門中の身をもかえりみず大月が**に飛んで三万五千本の熊手を調達してくる。こうして大鳥神社一之酉には賑やかな高市が立ったが、そこにテキヤ仲間から馬賊と恐れられている前川竜三が現われ、勝と対立し、竜三は若林の甘言に誘われてその客分...