奇跡の山 さよなら、名犬平治
父親の浮気による両親の離婚、母親の自殺など度重なるショックから失語症になってしまった少女・敦子。彼女は母の思い出にすがるように母の故郷である九重の山に残る決心をする。敦子は母の死の現場にいた子犬が母の身代わりのように思えてならず、母が好きだった九重連山のひとつ、平治岳にちなんで平治と名付け育てるのだった。九重の山で案内人をする敦子の祖父・清三はそんな2人を静かに見守る。やがて清三と敦子は、平治をガイド犬として育てることに決め、訓練を始めた。雄大な自然の中で敦子は少しずつ元気を取り戻していくかのように見えたが、父親の弘をどうしても許すことができず、弘から送られてきた新しい子供の写真を火の中に投げ捨てる。弘は新しい妻・恵子と子供との生活を始めていながらも、別れた妻の死因、敦子が声を失った原因は自分にあるという思いから自責の念に駆られていた。言葉がしゃべれ...