女の暦又名Onna no koyomi
瀬戸内海の小豆島にある日向家は末娘クニ子・実枝の二人によって守られて来た。父母は既に亡く、十人の兄姉も女ばかりの五人に減ってしまった。クニ子は島の小学校に勤め、家事は実枝が切り廻していた。そんな或る日実枝の発案で、もう十数年も会わない姉達を呼んで、死んだ家族の法事をする事になった。そして法事の日が近づくにつれて法事客が次々と到着した。真っ先に駈けつけたのは大阪から来た次女のカヤノ。長女のミチも十五年振りに広島からやって来た。東京にいる五女高子は主人が労働運動に捲き込まれ留置されているので少々遅れるとの事であった。久し振りに日向家の座敷には笑声が流れたが、この機会に自分の結婚話しを打開けようと思っていた実枝は、なかなかそれが切り出せない。そこへ実枝の恋人で農場に働いている石田がやって来た。実枝はそれで勇気づいたのか突然話しを切り出したが、実枝のその一生...